2012年04月27日
群馬フィッシングセンター中之沢は雨模様(その弐)
「雨の降りそうな日曜日の午後。」
僕の頭の中でこのキーワードがピクンと反応した。
これは普段行くことがなかなかできない釣り場に行くチャンスだ。
群馬フィッシングセンター中之沢に行くなら今日しかない。
実はここは僕にとって来るのが難しいエリアの一つなのである。
その理由は「木曜定休日」
基本的に僕は木曜日か日曜日にしか釣りはしない。
仕事の関係でそうなってしまう。
木曜日は主に単独釣行。
そして日曜日は師匠のK氏や長男といっしょに行くことが多い。
日曜日は沼田や東北道に遠征するので赤城山南面には行かない。
木曜日は赤城山南面には行くけれど、定休日の所では釣りできない。
結局、僕は群馬フィッシングセンター中之沢ではなかなか釣りができない、という見事三段論法が組みあがる。
それでも今まで2回ほど日曜日の時間があいた時にここに来たことがある。
前回は去年の秋口だったかな。
2回とも釣り場が満員であきらめてしまった。
エリア全体を見渡して、釣り場が満杯になっているのが見えちゃうと一気に僕の活性が落ちる。
赤城山南面には他にも多くの楽しいエリアがあるため、2回ともサッサと移ってしまった。
人気のあるエリアに行くのはむずかしい。
駐車場に車を停めてエリア全体を見回してみる。


空気は一層冷たさと湿気を帯びていている。
釣り場はかなり空いている。
釣っているのは全部で7-8人だ。
空いててかなりいい感じ。
でもロッドはあまりしなっていない。
まぁ、やってみるさ、やっと来れたんだし。
受付は食事どころと一緒になっている。
「御殿茶屋」という名前らしい。
周りに山々が見えて景色が素晴らしい・・・んだろうなぁ、普段は。
残念ながら今日は霧がかかって遠くまでは見通せない。

天気が良くて空いている時があればいいんだけどな。
虫のいい事を考えながら僕は入口のドアを開けた。
御殿茶屋の中はほのかに暖かかった。
右手の奥にストーブが焚かれていた。

「オール電化」なんていう便利な物に手に入れてから家の中で火を使うことは一切なくなった。
一年中同じ温度で快適で、その上火事の心配が全くなくなり安全になった。
その反面、火のぬくもりを忘れ去ってしまったのかもしれない。
久しぶりに見たストーブがやけに懐かしい感じがした。
赤々とした色にしばし見とれている自分に気付いた。
すぐ左が受付になっていて、人の良さそうなおじさんがいた。
ストーブに見入っている僕を不思議そうに見ていた。
ふと我に返り、ちょっぴり恥ずかしくなって曖昧に笑いながら話した。
「半日でお願いします。」
おじさんはニコっとして券の準備をしてくれた。
「会員証は持ってるかい?」
マジックで券に日付を書き込みながらおじさんが尋ねた。
「いえ、今日初めてなので持ってません。」
「じゃぁ、会員登録する?」
僕はなかなか来れないとは思うけどまぁ記念に会員証はもらっておこうと思いうなずいた。
ポンドに向かう前に建物の奥にあるトイレに向かった。
ストーブの前を横切ったので、もう一度ストーブをじっくり見た。
近づくと暖かさがストーブから送り込まれてきた。
あぁ、この感覚久しぶりだなぁ。
動きたくなくなりそうな自分に戸惑いながらトイレを済ませて建物を出た。
ポンドに行く途中に花が咲いている。

花壇があったり、植物をキチンと育ててるところはまず良い管理釣り場だと思っていい。
勝手な思い込みだが、そんな印象を僕は持っている。
水たまりや出水口、ゴミ箱、魚の死骸等がきちんと片付いているところも気持ち良く釣りが出来る。
苦手なのは喫煙の制限がない所。
喫煙所を作ってるところはまだいいけど、咥えタバコで釣りする人を見ると嫌な気分になる。
花の脇を通り、釣りしてる人の後ろをそーっと歩いて空いている入水口の付近に向かった。
後ろを通る時、こんにちはー、と声をかけてくれる人がいた。
僕もこんにちはー、と挨拶を返して通り抜けた。
エリアの雰囲気ってかなり違いがある。
もちろんロケーションや管理者、スタッフの作る空気が大きいのは確かだ。
でも、釣りに来てるお客さんの様子でもかなり変わってくる。
人によっては近くに入るとギロっと睨まれたり、露骨に嫌な顔をされたりすることもある。
逆に気を使って少し寄って場所をあけてくれる人もいる。
挨拶をするのはとてもいい事だし、雰囲気が和む。
雰囲気と言えば、いろんなエリアがある。
例えば・・・
大崎釣りぼりは家族釣れや仲間同士で来る人が多い。
宮城アングラーヴィレッジは始めたての人やカップル。
Hookは一人で来て黙々と真面目に釣る印象。
白山は釣り半分、自然の中でのんびりするの半分、釣れなくてもノープロブレム。
川場は大物狙い、必死な人多く、混みすぎてややギスギス系。
おくとねフィッシングパークは若い人が多く、いろんなプラグを試しているのを見かける。
いわなセンターは手前のいわな狙いの人と奥池の数釣りのところでは雰囲気が全く異なる。
加賀はいろんな人がいて、言ってみれば特徴がないのが特徴。
発光路はとにかく釣りを極めたいって感じの求道者。
まぁでも、勝手な印象を持つのはよくないかもしれない。
中之沢はアットホームで柔らかいって感じが第一印象。
まずは納得。
そしていよいよ釣り始めるとする。
水質はステインに近いか。
手前を泳ぐトラウトは見えるがクリアではない。

最初はいつでもこのスプーンから、と決めてる人もいるかもしれない。
その時の時間や天気、ポンドの活性を見極め一番向いてそうなルアーを選ぶ人もいる。
ときかく今日はこれだけで頑張る、とシバリで始める人もいる。
人それぞれ。
僕は全くの気分。
スプーンワレットを開いた瞬間、一番気になったのをおもむろに使い始める。
真面目に考えるのは仕事だけで十分。
遊びぐらい自由気ままにいこうじゃないか。
釣れなかったらその時考えればいいや。
今日の気分は赤金のスプーンから。
まずは1投目を開始。
ピシュッーー、ポトン。
いいところに落ちた。
ゆっくり、ゆっくり引いてくる。
が、なんの手応えもない。
2投目も同じところに落とす。
さっきより少し早めに巻いてみる。
ん、なんか手応えあったかな。
3投目、4投目・・・
10回くらい繰り返したあたりでようやくヒット。
本日の1匹目がキャッチできた。

1匹目が釣れた時の気持ちって何かに似ている。
ボウズがなくなった安堵感、今日はたくさん釣れるんじゃないかという期待感。
病気が治って退院した時?
んー、いやちょっと違うなぁ。
子供が無事生まれた時?
これもちょっと違うな。
見たかった映画が始まる瞬間?
0:0の均衡がやぶれるゴールの瞬間?
パチンコでハマったあとにやっと来た大当たり?
みんな微妙に違う・・
そうか。
さんざん振られた女の子をやっとくどき落とした時。
これが一番近いかな。
ともあれ、1匹目をゲットできたので後は気楽にマイペース。
雲はドンドン濃くなってきたが、雨はまだ落ちてきていない。
いまのうちに行けるところまでいこうと思う。
------------------------------------------------------------------------------------
文章が長くなる上に書くのに根気がいるなぁ。
次回で終わればいいけど・・・
小説形式はかなりきついことを実感。
今回終わったら元の書き方もどそう。
僕の頭の中でこのキーワードがピクンと反応した。
これは普段行くことがなかなかできない釣り場に行くチャンスだ。
群馬フィッシングセンター中之沢に行くなら今日しかない。
実はここは僕にとって来るのが難しいエリアの一つなのである。
その理由は「木曜定休日」
基本的に僕は木曜日か日曜日にしか釣りはしない。
仕事の関係でそうなってしまう。
木曜日は主に単独釣行。
そして日曜日は師匠のK氏や長男といっしょに行くことが多い。
日曜日は沼田や東北道に遠征するので赤城山南面には行かない。
木曜日は赤城山南面には行くけれど、定休日の所では釣りできない。
結局、僕は群馬フィッシングセンター中之沢ではなかなか釣りができない、という見事三段論法が組みあがる。
それでも今まで2回ほど日曜日の時間があいた時にここに来たことがある。
前回は去年の秋口だったかな。
2回とも釣り場が満員であきらめてしまった。
エリア全体を見渡して、釣り場が満杯になっているのが見えちゃうと一気に僕の活性が落ちる。
赤城山南面には他にも多くの楽しいエリアがあるため、2回ともサッサと移ってしまった。
人気のあるエリアに行くのはむずかしい。
駐車場に車を停めてエリア全体を見回してみる。
空気は一層冷たさと湿気を帯びていている。
釣り場はかなり空いている。
釣っているのは全部で7-8人だ。
空いててかなりいい感じ。
でもロッドはあまりしなっていない。
まぁ、やってみるさ、やっと来れたんだし。
受付は食事どころと一緒になっている。
「御殿茶屋」という名前らしい。
周りに山々が見えて景色が素晴らしい・・・んだろうなぁ、普段は。
残念ながら今日は霧がかかって遠くまでは見通せない。
天気が良くて空いている時があればいいんだけどな。
虫のいい事を考えながら僕は入口のドアを開けた。
御殿茶屋の中はほのかに暖かかった。
右手の奥にストーブが焚かれていた。
「オール電化」なんていう便利な物に手に入れてから家の中で火を使うことは一切なくなった。
一年中同じ温度で快適で、その上火事の心配が全くなくなり安全になった。
その反面、火のぬくもりを忘れ去ってしまったのかもしれない。
久しぶりに見たストーブがやけに懐かしい感じがした。
赤々とした色にしばし見とれている自分に気付いた。
すぐ左が受付になっていて、人の良さそうなおじさんがいた。
ストーブに見入っている僕を不思議そうに見ていた。
ふと我に返り、ちょっぴり恥ずかしくなって曖昧に笑いながら話した。
「半日でお願いします。」
おじさんはニコっとして券の準備をしてくれた。
「会員証は持ってるかい?」
マジックで券に日付を書き込みながらおじさんが尋ねた。
「いえ、今日初めてなので持ってません。」
「じゃぁ、会員登録する?」
僕はなかなか来れないとは思うけどまぁ記念に会員証はもらっておこうと思いうなずいた。
ポンドに向かう前に建物の奥にあるトイレに向かった。
ストーブの前を横切ったので、もう一度ストーブをじっくり見た。
近づくと暖かさがストーブから送り込まれてきた。
あぁ、この感覚久しぶりだなぁ。
動きたくなくなりそうな自分に戸惑いながらトイレを済ませて建物を出た。
ポンドに行く途中に花が咲いている。
花壇があったり、植物をキチンと育ててるところはまず良い管理釣り場だと思っていい。
勝手な思い込みだが、そんな印象を僕は持っている。
水たまりや出水口、ゴミ箱、魚の死骸等がきちんと片付いているところも気持ち良く釣りが出来る。
苦手なのは喫煙の制限がない所。
喫煙所を作ってるところはまだいいけど、咥えタバコで釣りする人を見ると嫌な気分になる。
花の脇を通り、釣りしてる人の後ろをそーっと歩いて空いている入水口の付近に向かった。
後ろを通る時、こんにちはー、と声をかけてくれる人がいた。
僕もこんにちはー、と挨拶を返して通り抜けた。
エリアの雰囲気ってかなり違いがある。
もちろんロケーションや管理者、スタッフの作る空気が大きいのは確かだ。
でも、釣りに来てるお客さんの様子でもかなり変わってくる。
人によっては近くに入るとギロっと睨まれたり、露骨に嫌な顔をされたりすることもある。
逆に気を使って少し寄って場所をあけてくれる人もいる。
挨拶をするのはとてもいい事だし、雰囲気が和む。
雰囲気と言えば、いろんなエリアがある。
例えば・・・
大崎釣りぼりは家族釣れや仲間同士で来る人が多い。
宮城アングラーヴィレッジは始めたての人やカップル。
Hookは一人で来て黙々と真面目に釣る印象。
白山は釣り半分、自然の中でのんびりするの半分、釣れなくてもノープロブレム。
川場は大物狙い、必死な人多く、混みすぎてややギスギス系。
おくとねフィッシングパークは若い人が多く、いろんなプラグを試しているのを見かける。
いわなセンターは手前のいわな狙いの人と奥池の数釣りのところでは雰囲気が全く異なる。
加賀はいろんな人がいて、言ってみれば特徴がないのが特徴。
発光路はとにかく釣りを極めたいって感じの求道者。
まぁでも、勝手な印象を持つのはよくないかもしれない。
中之沢はアットホームで柔らかいって感じが第一印象。
まずは納得。
そしていよいよ釣り始めるとする。
水質はステインに近いか。
手前を泳ぐトラウトは見えるがクリアではない。
最初はいつでもこのスプーンから、と決めてる人もいるかもしれない。
その時の時間や天気、ポンドの活性を見極め一番向いてそうなルアーを選ぶ人もいる。
ときかく今日はこれだけで頑張る、とシバリで始める人もいる。
人それぞれ。
僕は全くの気分。
スプーンワレットを開いた瞬間、一番気になったのをおもむろに使い始める。
真面目に考えるのは仕事だけで十分。
遊びぐらい自由気ままにいこうじゃないか。
釣れなかったらその時考えればいいや。
今日の気分は赤金のスプーンから。
まずは1投目を開始。
ピシュッーー、ポトン。
いいところに落ちた。
ゆっくり、ゆっくり引いてくる。
が、なんの手応えもない。
2投目も同じところに落とす。
さっきより少し早めに巻いてみる。
ん、なんか手応えあったかな。
3投目、4投目・・・
10回くらい繰り返したあたりでようやくヒット。
本日の1匹目がキャッチできた。
1匹目が釣れた時の気持ちって何かに似ている。
ボウズがなくなった安堵感、今日はたくさん釣れるんじゃないかという期待感。
病気が治って退院した時?
んー、いやちょっと違うなぁ。
子供が無事生まれた時?
これもちょっと違うな。
見たかった映画が始まる瞬間?
0:0の均衡がやぶれるゴールの瞬間?
パチンコでハマったあとにやっと来た大当たり?
みんな微妙に違う・・
そうか。
さんざん振られた女の子をやっとくどき落とした時。
これが一番近いかな。
ともあれ、1匹目をゲットできたので後は気楽にマイペース。
雲はドンドン濃くなってきたが、雨はまだ落ちてきていない。
いまのうちに行けるところまでいこうと思う。
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文章が長くなる上に書くのに根気がいるなぁ。
次回で終わればいいけど・・・
小説形式はかなりきついことを実感。
今回終わったら元の書き方もどそう。
2012年04月23日
群馬フィッシングセンター中之沢は雨模様(その壱)
4/22に群馬フィッシングセンター中之沢に行ってきました。
いつもとちょっと趣向を変えて小説風に書いてみたり。
-----------------------------------------------------------------------------------------
4月中旬。
一日、一日と暖かさが積みあがっていく時期。
時にはじらすように急に冷え込んだりしながら、だんだん暖かくなっていくこの時期が僕は好きだ。

朝に車のエンジンを動かした時、ディスプレイに表示される気温もほんの少しずつ上がっていく。
車を東に向かって走らせた瞬間に感じる太陽のまぶしさが徐々に強くなっていくのが心地よい。
この時期の休日はなんといっても釣りだ。
寒い冬にじっと池のそこに身を潜めていた鱒たちが、陽気に誘われて水面付近を気持ちよさそうに泳ぎだす。
羽虫たちが元気に水面近くを飛び交いだすと、鱒たちのおどけたジャンプがあちこちの水面を賑わし始める。
水の中から、こっちに向かって早くおいでよと手招いている気がしてくる。
ポンド全体に活気が出てくるこの時期の雰囲気が僕は大好きだ。

さて今日はどこのエリアに行こう。
出発する直前までわざと目的地を決めないでおく。
休日の朝に起きて、なんとなく釣りに行きたい、と思った時に行くのが自分流。
経験からそれが一番楽しめるのは分かっている。
逆に朝からぼーっとしてても、釣りのことを考えてなかった時は止めておく。
そういう時は一日中家のんびりしているか、おいしい物でも食べに行くに限る。
人があまり多くないところがいい。
目の前にしか投げられないほど多くの人で賑わう所は、多くの魚、大きな魚、めずらしい魚が釣れるのかもしれないが、それ以上にストレスを多く釣ってしまいそう。
もちろん魚が多く釣れる方がいいんだけれど、漁師じゃない僕としては他人と競争してまでがんばる理由も気力もない。
マイペースでのんびりできるエリアが好きだ。
しかし、得てしてそういうエリアは釣れない。
むすかしいシチュエーションで釣り上げる腕も僕にはない。
結局、ストレスと一緒に多くの魚たちと遊ぶのがいいのか、気長にのんびりそしてほんのわずかな魚たちと遊ぶのがいいのか、アングラーの本質的な選択にいつも悩まされるのである。

その日の気分で物事を決めるのは人間の特権なのか。
犬や猫も気分で行動を変えているのだろうか。
魚や鳥などは基本的に同じ行動しかしないような気がする。
ともあれ、僕は気分で動く生き物の最たる物かもしれない、というのが自分なりの結論だ。
気分に左右されたくないので常にとる行動を決めておくやり方もある。
決めたことを決めた通りに遂行していく方がストレスを感じない人もいるようだ。
前もって予定を立てることは自由な発想や、感情の柔軟性が縛られるような気がして苦手な僕としては羨ましい部分もある。
約束は絶対に破らない、きちんと守る、そのかわり約束することはできるだけ避けたい。
これって人としてどうなんだろう・・・
約束破る人よりはいいという事かな。
なんてことをとりとめもなく考えながら、赤城山南面に向かって車を走らせることにした。
結局妥協の産物で、そこそこ釣れてそれほど多くの人間でひしめかない中庸を選択する。
人間なんてそんなもんだ。
「中庸の徳たるや、それ至れるかな」である。
ともあれ、今日も意味のない結論からスタートしたのはあまり良くない兆候である。
天気は曇り、予報によると午後から崩れて雨になるとのこと。
小雨の中の釣りは、好ましくはないがそれほど嫌いでもない。
寒さに強い僕は、多少の雨や寒さはあまり気にしない。
でも多くの人は気にするので結果的にエリアが空いてくれる。
雨の時は鱒たちが元気になる。
イジメっ子の人間たちが居なくなるからなのかな。
小雨は歓迎、どしゃぶりは勘弁。
変な標語みたいなことをつぶやきながら車を進める。
体は少しだるい。
前の日に夜更かししたせいでやや睡眠不足は否めない。
気温は10度。
家を出たときよりも2度下がった。
睡眠不足に雨と寒さ。
あえてこの苦行にチャレンジする僕は偉いんだ、と自分に言い聞かせて気分を盛り上げていく。
ダメそうなときは、悲観的になりがちなのが悪い癖だ。
一匹も釣れずにボウズ、ルアーロスト、ライントラブル連発・・・
ありそうで怖い。
まさか、ロッドクラッシュ、転倒怪我、直前で仕事の呼び出し、自動車事故・・・
やばい、考えがまずい方向に進んでいく。
グゥーーーーーッッ
ブレーキを踏んで道路わきの空き地にいったん車を止めて一休みする。
上武道路から右折して少し赤城山に近づいた辺りだ。
赤城山を見ると全体に霧がかかったようになって輪郭がはっきりしない。

雨はまだ降ってきていない。
車から降りて道路に立ってみると雨が降る前のひんやりした空気を感じる。
通って行く車は少なく、名も知らない鳥の鳴き声が聞こえる。
何故か風はほとんど吹いていない。
あくびとともに大きく伸びをする。
僕の背骨がゴキっと鳴り、そのせいで鳥が鳴きやんだ気がした。
背骨の音に誘われるように赤城山から霧が下りてくる。
タン、タン、タン、歩道を歩くといつもよりやや自分足音が大きく聞こえる。
車に再び乗った時、カーステの音楽を変えてみる。
昔の、日本の音楽が元気だった頃のポップスをかける。
ボウイ、レベッカ、サザンオールスターズ、プリンセスプリンセス、久保田利伸、相川七瀬、中森明菜、ユーミン・・・・・・
いつ聞いてもホッとする歌たち。
眠気を吹き払うため、運転しながら曲に合わせて口ずさむ。
それだけでなんか気分が上向きになる不思議。
体の奥のどこかに特別なスイッチが用意されていているに違いない。
特別な鍵だけがオンにできる古ぼけたスイッチ。
10代、20代の時に作られ、今なお敏感に反応してくれる。
感度良好、発車オーライ、これはなんかの歌詞だな。
大きな音でお気に入りの音楽を聞きながら車は赤城山に近づいていく。
世の中なべて事もなし、だ。
目的地は群馬フィッシングセンター中之沢。

-----------------------------------------------------------------------------------------
この書き方だと長くなっちゃったので何回かに分けることになりそうですね。
とりあえず今日はここまで。
いつもとちょっと趣向を変えて小説風に書いてみたり。
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4月中旬。
一日、一日と暖かさが積みあがっていく時期。
時にはじらすように急に冷え込んだりしながら、だんだん暖かくなっていくこの時期が僕は好きだ。
朝に車のエンジンを動かした時、ディスプレイに表示される気温もほんの少しずつ上がっていく。
車を東に向かって走らせた瞬間に感じる太陽のまぶしさが徐々に強くなっていくのが心地よい。
この時期の休日はなんといっても釣りだ。
寒い冬にじっと池のそこに身を潜めていた鱒たちが、陽気に誘われて水面付近を気持ちよさそうに泳ぎだす。
羽虫たちが元気に水面近くを飛び交いだすと、鱒たちのおどけたジャンプがあちこちの水面を賑わし始める。
水の中から、こっちに向かって早くおいでよと手招いている気がしてくる。
ポンド全体に活気が出てくるこの時期の雰囲気が僕は大好きだ。
さて今日はどこのエリアに行こう。
出発する直前までわざと目的地を決めないでおく。
休日の朝に起きて、なんとなく釣りに行きたい、と思った時に行くのが自分流。
経験からそれが一番楽しめるのは分かっている。
逆に朝からぼーっとしてても、釣りのことを考えてなかった時は止めておく。
そういう時は一日中家のんびりしているか、おいしい物でも食べに行くに限る。
人があまり多くないところがいい。
目の前にしか投げられないほど多くの人で賑わう所は、多くの魚、大きな魚、めずらしい魚が釣れるのかもしれないが、それ以上にストレスを多く釣ってしまいそう。
もちろん魚が多く釣れる方がいいんだけれど、漁師じゃない僕としては他人と競争してまでがんばる理由も気力もない。
マイペースでのんびりできるエリアが好きだ。
しかし、得てしてそういうエリアは釣れない。
むすかしいシチュエーションで釣り上げる腕も僕にはない。
結局、ストレスと一緒に多くの魚たちと遊ぶのがいいのか、気長にのんびりそしてほんのわずかな魚たちと遊ぶのがいいのか、アングラーの本質的な選択にいつも悩まされるのである。
その日の気分で物事を決めるのは人間の特権なのか。
犬や猫も気分で行動を変えているのだろうか。
魚や鳥などは基本的に同じ行動しかしないような気がする。
ともあれ、僕は気分で動く生き物の最たる物かもしれない、というのが自分なりの結論だ。
気分に左右されたくないので常にとる行動を決めておくやり方もある。
決めたことを決めた通りに遂行していく方がストレスを感じない人もいるようだ。
前もって予定を立てることは自由な発想や、感情の柔軟性が縛られるような気がして苦手な僕としては羨ましい部分もある。
約束は絶対に破らない、きちんと守る、そのかわり約束することはできるだけ避けたい。
これって人としてどうなんだろう・・・
約束破る人よりはいいという事かな。
なんてことをとりとめもなく考えながら、赤城山南面に向かって車を走らせることにした。
結局妥協の産物で、そこそこ釣れてそれほど多くの人間でひしめかない中庸を選択する。
人間なんてそんなもんだ。
「中庸の徳たるや、それ至れるかな」である。
ともあれ、今日も意味のない結論からスタートしたのはあまり良くない兆候である。
天気は曇り、予報によると午後から崩れて雨になるとのこと。
小雨の中の釣りは、好ましくはないがそれほど嫌いでもない。
寒さに強い僕は、多少の雨や寒さはあまり気にしない。
でも多くの人は気にするので結果的にエリアが空いてくれる。
雨の時は鱒たちが元気になる。
イジメっ子の人間たちが居なくなるからなのかな。
小雨は歓迎、どしゃぶりは勘弁。
変な標語みたいなことをつぶやきながら車を進める。
体は少しだるい。
前の日に夜更かししたせいでやや睡眠不足は否めない。
気温は10度。
家を出たときよりも2度下がった。
睡眠不足に雨と寒さ。
あえてこの苦行にチャレンジする僕は偉いんだ、と自分に言い聞かせて気分を盛り上げていく。
ダメそうなときは、悲観的になりがちなのが悪い癖だ。
一匹も釣れずにボウズ、ルアーロスト、ライントラブル連発・・・
ありそうで怖い。
まさか、ロッドクラッシュ、転倒怪我、直前で仕事の呼び出し、自動車事故・・・
やばい、考えがまずい方向に進んでいく。
グゥーーーーーッッ
ブレーキを踏んで道路わきの空き地にいったん車を止めて一休みする。
上武道路から右折して少し赤城山に近づいた辺りだ。
赤城山を見ると全体に霧がかかったようになって輪郭がはっきりしない。
雨はまだ降ってきていない。
車から降りて道路に立ってみると雨が降る前のひんやりした空気を感じる。
通って行く車は少なく、名も知らない鳥の鳴き声が聞こえる。
何故か風はほとんど吹いていない。
あくびとともに大きく伸びをする。
僕の背骨がゴキっと鳴り、そのせいで鳥が鳴きやんだ気がした。
背骨の音に誘われるように赤城山から霧が下りてくる。
タン、タン、タン、歩道を歩くといつもよりやや自分足音が大きく聞こえる。
車に再び乗った時、カーステの音楽を変えてみる。
昔の、日本の音楽が元気だった頃のポップスをかける。
ボウイ、レベッカ、サザンオールスターズ、プリンセスプリンセス、久保田利伸、相川七瀬、中森明菜、ユーミン・・・・・・
いつ聞いてもホッとする歌たち。
眠気を吹き払うため、運転しながら曲に合わせて口ずさむ。
それだけでなんか気分が上向きになる不思議。
体の奥のどこかに特別なスイッチが用意されていているに違いない。
特別な鍵だけがオンにできる古ぼけたスイッチ。
10代、20代の時に作られ、今なお敏感に反応してくれる。
感度良好、発車オーライ、これはなんかの歌詞だな。
大きな音でお気に入りの音楽を聞きながら車は赤城山に近づいていく。
世の中なべて事もなし、だ。
目的地は群馬フィッシングセンター中之沢。
-----------------------------------------------------------------------------------------
この書き方だと長くなっちゃったので何回かに分けることになりそうですね。
とりあえず今日はここまで。